
近年、企業の広報・マーケティング活動において、ドローンを使った空撮映像の需要が急速に拡大しています。
建設業界では工事現場の記録や竣工写真、不動産業界ではモデルルームや物件の魅力的な紹介映像、観光業界では地域PR動画、そしてイベント運営会社では会場全体を俯瞰した迫力のある映像制作にドローンが活用されています。
本記事では、企業の広報・マーケティング担当者、中小企業経営者、学校関係者の方々に向けて、ドローン撮影の基礎知識から実際の依頼方法まで、実践的な情報を分かりやすく解説します。
ドローン撮影とは?基本知識とメリット
ドローン撮影の基本概要
ドローン撮影(空撮)とは、無人航空機(ドローン)にカメラを搭載し、上空から静止画や動画を撮影する技術です。
従来のヘリコプターや高所作業車を使った撮影と比較して、以下のような特徴があります:
- コストの大幅削減:ヘリコプター撮影(50~100万円)に対し、ドローンなら4~30万円程度
- 機動性の向上:狭い場所や複雑な地形でも柔軟に撮影可能
- 安全性の確保:人間が立ち入れない危険な場所での撮影が可能
- 高画質映像:4K・8K対応機材による鮮明な映像取得
企業がドローン撮影を導入するメリット
- マーケティング効果の向上
従来の平面的な写真や映像では表現できない、ダイナミックで印象的なビジュアルコンテンツを制作できます。SNSでのシェア率も従来の映像と比較して平均3倍以上向上するという調査結果もあります。 - 作業効率の大幅改善
建設現場での進捗管理や点検業務において、従来1日かかっていた作業が数時間で完了するケースも多く見られます。 - 安全管理の強化
高所や危険箇所の点検・撮影をドローンで行うことで、作業員の安全リスクを大幅に軽減できます。
【料金相場】ドローン撮影の費用を詳しく解説
基本的な料金体系
2025年9月1日時点のドローン撮影料金相場は以下の通りです:
撮影内容 | 料金相場 | 含まれる内容 |
基本撮影(静止画) | 4万円~10万円 | 撮影時間20分程度、データ納品、保険料込み |
動画撮影 | 6万円~12万円 | 撮影時間20分程度、素材データ納品 |
動画制作(編集込み) | 10万円~30万円 | 撮影+編集、BGM・テロップ付き完成動画 |
測量・点検業務 | 15万円~50万円 | 専用ソフトでの解析、報告書作成込み |
料金に影響する要因
- 撮影時間とカット数
基本料金は通常バッテリー2~3本分(約20~40分)の撮影時間が含まれます。追加撮影は1時間あたり4~6万円が相場です。 - 撮影場所と移動距離
都市部から離れた場所やアクセスが困難な現場では交通費や宿泊費が別途必要になります。目安として、片道2時間を超える場合は追加料金が発生することが一般的です。 - 使用機材のグレード※目的によって変動します
お試しモデル(DJI Mini等):基本料金内
プロ仕様機材(DJI Inspire等):+2~5万円
産業用ドローン:+5~10万円 - 編集・制作レベル
素材データのみ:追加料金なし
簡易編集(カット・BGM):+3~8万円
本格的な動画制作:+10~20万円
オプション料金の目安
オプション内容(例) | 料金相場 |
ロケハン(事前調査) | 5万円~15万円 |
夜間撮影 | +3万円~5万円 |
雨天延期対応 | 基本料金の50% |
急遽対応(3日以内) | +20%~50% |
【業界別】企業でのドローン撮影活用事例
建設・不動産業界
事例1:大手ハウスメーカーの分譲地PR映像
某大手ハウスメーカーでは、新規分譲地の販売促進のため、ドローンを使って周辺環境を含めた魅力的なPR動画を制作。従来の平面図や写真だけでは伝えきれない立地の良さや開放感を表現し、来場者数が前年比40%増加しました。
費用:撮影・編集込みで25万円
事例2:建設現場の進捗管理・竣工記録
建設会社では、月1回のドローン撮影により工事進捗を記録。発注者への報告資料作成時間が従来の1/3に短縮され、顧客満足度も向上しました。
費用:月額契約で8万円/回
観光・自治体
事例3:地域観光PR動画の制作
地方自治体が観光地の魅力を伝えるため、四季を通じたドローン撮影を実施。YouTubeでの再生回数が50万回を超え、観光客数の増加に貢献しました。
費用:年4回撮影・編集込みで120万円
イベント運営・学校関係
事例4:音楽フェスティバルの記録映像
大型音楽イベントでドローンによる会場全体の撮影を実施。会場の盛り上がりや規模感を効果的に表現した映像が話題となり、次回イベントの集客に大きく貢献しました。
費用:2日間撮影・編集込みで45万円
事例5:学校創立記念イベント
創立100周年記念式典で、校舎全体と参加者全員を空撮で記録。保護者や卒業生から高い評価を得て、学校のブランド価値向上に寄与しました。
費用:撮影・簡易編集込みで15万円
飲食・宿泊業界
事例6:リゾートホテルのプロモーション映像
海辺のリゾートホテルが、ドローンで撮影した空撮映像をWebサイトやSNSで活用。ホテルの立地の良さと施設の魅力を効果的にアピールし、予約数が30%増加しました。
費用:撮影・編集込みで35万円
信頼できるドローン撮影業者の選び方
必須チェックポイント
- 資格・許可の保有状況
国土交通省の飛行許可承認取得済み
操縦者の技能証明(国家資格)保有
機体登録・点検の適切な実施 - 保険への加入
ドローン専用保険への加入(賠償責任保険は最低1億円以上推奨)
機体保険の加入状況
作業員の労災保険加入 - 実績と専門性
同業界での撮影実績
ポートフォリオの質と多様性
クライアントからの評価・口コミ
業者選定時の質問項目
見積もりを依頼する際は、以下の点を必ず確認しましょう:
- 撮影可能な条件は?(天候や風速の制限、撮影不可能な場合の対応方法)
- 納品形式とスケジュールは?(データ形式、解像度、納期の詳細)
- 追加料金が発生するケースは?(延期や再撮影、編集の修正回数など)
- アフターサポートの内容は?(データの保管期間、追加編集の対応など)
要注意!避けるべき業者の特徴
- 飛行許可の取得状況を明確に回答できない
- 保険への加入を証明できない
- 極端に安い料金を提示する(相場の半額以下など)
- 契約書や見積書の内容が曖昧
- 過去の実績を具体的に示せない
ドローン撮影の依頼から完成までの流れ
STEP1:企画・相談(1~2週間前)
準備すべき情報:
- 撮影目的と用途
- 希望する撮影日時
- 撮影場所の詳細情報
- 予算範囲
- 納期の要望
初回相談では、撮影の目的や希望する映像のイメージを明確に伝えることが重要です。参考となる映像や写真があれば積極的に共有しましょう。
STEP2:見積もり・契約(3~7日)
複数の業者から見積もりを取得し、料金だけでなく提案内容も含めて総合的に判断します。この段階で以下を確認:
- 詳細なスケジュール
- 天候不良時の対応方針
- キャンセル・変更時のルール
- 成果物の著作権・使用権
STEP3:事前準備・許可申請(契約後~撮影前)
信頼できる業者であれば、以下の準備を代行してくれます:
- 飛行許可申請(必要に応じて)
- 撮影場所の管理者への連絡・許可取得
- 気象条件の事前チェック
- 機材の点検・準備
STEP4:撮影当日
撮影の流れ:
- 現地での最終安全確認
- 機材セットアップ
- テスト飛行
- 本撮影(通常20~60分)
- データ確認・バックアップ
撮影中は業者の指示に従い、安全確保を最優先に行動してください。
STEP5:編集・納品(撮影後3~14日)
撮影後の制作期間は内容によって異なります:
- 素材データのみ:当日~3日
- 簡易編集:3~7日
- 本格的な動画制作:7~14日
知っておくべき法規制と許可申請
ドローン撮影に関わる主な規制
- 航空法による規制
以下の場所・方法でドローンを飛行させる場合は、国土交通省への事前申請が必要です:- 人口集中地区(DID):市街地や住宅密集地
- 空港周辺:空港から一定範囲内
- 150m以上の高度:地表から150m以上の空域
- 夜間飛行:日没から日の出まで
- 目視外飛行:操縦者が機体を直接見えない距離
- 人・建物から30m未満:第三者や建物に接近した飛行
- 機体登録制度
100g以上のドローンは機体登録が義務化されています。登録されていない機体の飛行は法的に禁止されており、違反すると最大50万円の罰金が科せられます。
許可申請の流れ
信頼できる業者であれば、以下の申請手続きを代行してくれます:
- DIPS2.0での申請:国土交通省のオンラインシステム
- 申請書類の作成:飛行計画書、安全管理体制など
- 審査期間:標準的には10営業日程度
- 許可書の取得:飛行時は許可書の携行が必要
その他の注意事項
- プライバシーの保護
住宅地や人が多い場所での撮影では、プライバシー保護に十分配慮する必要があります。撮影前に近隣住民への説明や同意取得を行うことが推奨されます。 - 撮影禁止区域
法的な規制以外にも、以下のような場所では撮影が制限される場合があります:- 自衛隊基地や米軍基地周辺
- 原子力発電所周辺
- 重要文化財や神社仏閣
- 私有地(所有者の許可が必要)
よくある質問Q&A
Q1. ドローン撮影の料金相場はどのくらいですか?
A:基本的な撮影であれば4~10万円、動画編集まで含めると10~30万円が相場です。撮影内容や場所、編集レベルによって料金は変動します。詳細は複数の業者から見積もりを取得して比較することをお勧めします。
Q2. 撮影を依頼してから完成まで、どのくらいの期間が必要ですか?
A:企画から撮影まで1~2週間、撮影後の編集・納品まで3~14日程度が標準的です。ただし、許可申請が必要な場合や複雑な編集作業が必要な場合は、さらに時間がかかることがあります。
Q3. 雨天の場合はどうなりますか?
A:ドローンは雨天での飛行ができないため、天候不良の場合は延期となります。多くの業者では天候による延期の場合、追加料金なしで日程を調整してくれます。契約前に延期時の対応を必ず確認しましょう。
Q4. 都市部でもドローン撮影は可能ですか?
A:人口集中地区(DID)でも、適切な許可申請を行えば撮影可能です。ただし、安全確保のため飛行方法に制限がある場合があります。撮影希望地域での実現可能性は事前に業者に相談してください。
Q5. 撮影データの著作権は誰にありますか?
A:一般的には撮影を行った業者に著作権がありますが、使用権は発注者に付与されることが多いです。商用利用や二次利用の範囲については契約前に必ず確認し、必要に応じて著作権譲渡契約を結ぶことをお勧めします。
Q6. 自社でドローンを購入して撮影するのと外注するのではどちらが良いですか?
A:年間の撮影頻度が月1回以下であれば外注が経済的です。機体購入費(20~150万円)、維持費、操縦者の資格取得・訓練費、保険料などを考慮すると、プロに依頼する方がコストパフォーマンスが高い場合が多いです。
まとめ
本記事でご紹介したように、ドローン撮影は企業のマーケティング活動において非常に強力なツールです。従来の撮影手法では表現できない迫力ある映像で、お客様の心に残るコンテンツを制作できます。
次のステップ:
- 複数のドローン撮影業者に相談・見積もり依頼
- 撮影目的と予算を明確にした企画書の作成
- 参考映像の収集と撮影イメージの具体化
- 社内での承認プロセスの確認
まずは気軽に専門業者(Tactics)に相談してみることから始めてみてください。きっと期待以上の成果が得られるはずです。